科学技術が急速に進歩する技術的特異点とは
最近、人工知能の発達が顕著になりつつあります。今世紀中に科学が、現代の我々が想像できないほど発達してしまう可能性もあります。
例えば、最近、囲碁のコンピューターがトッププロ棋士に勝利しました。この囲碁コンピューターで使用しいるディープマインドというアルゴリズムは、例えば、コンピューターが猫の画像を見て猫と判断するパターン認識力に優れています。
表現を変えれば、これまで人間の専売特許であったパターン認識力がコンピュータでも簡単にできてしまうことになります。今後も人間の各機能を再現・凌駕するコンピュータは次々生まれてくるでしょう。
とうことで、今回は、科学技術が急速に発達する技術的特異点について解説します。技術的特異点という考え方は、科学関連の本は数百冊保有している科学マニア?の私ですが、衝撃を受けた考え方のベスト5に入ります。
技術的特異点とは
技術的特異点とは、カーツワイルという方が提唱した考え方であり、人工知能が人間の能力を超えることで起こる出来事とされ、テクノロジーが急速に変化し、それにより甚大な影響がもたらされ、人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうとする未来予測のことです。(wikipedia「技術的特異点」より)
また、この技術的特異点は、2045年ごろに起こるであると考えられています。
技術的特異点が起きる前提条件
まず、技術的特異点が起きる前提条件がいくつかあります。
1.人間と同様に考えるコンピュータ(強いAI)が開発される
正直なところ、「考えるコンピュータ」が生まれるかどうかは、専門家の情報学科の方々でも、意見は二分されているそうです。
個人的には、「考えるコンピュータ」は可能ではないかと考えます。
根拠として上述したアルファ碁のように、人間の機能の一部(パターン認識力)では人間をはるかに超えたコンピュータが生まれており、今後も生まれ続けば、いずれ人間の脳機能を代替する人工知能もうまれるのではないでしょうか。また、脳の機能を分子レベルでコンピュータで再現すれば自我も同様に生まれるのかなとも思います、
2.ムーアの法則が今後も続く
また、技術的特異点が実現するためには、今後もムーアの法則が続く必要があります。
ムーアの法則とは、1年半から1年くらいで、コンピュータの処理速度が2倍になるという予測です。
このムーアの法則についても、今後も続くか否か意見が分かれています。個人的には、今後もムーアの予測が続くと考えられます。その根拠としては、最近、IBMで量子コンピュータが公開されたように、新しいコンピュータ、例えば、量子コンピュータ、光コンンピュータ、DNAコンピュータ等、が次々新しいタイプのコンピュータが開発・考案されているからです。
ムーアの法則が続く場合に突入する技術的特異点とは
例えば、1年に2倍の速度でコンピュータの処理速度が増加し、また、2020年くらいに、人間の脳と同等のコンピュータ(PC)、つまり人工知能ができたと仮定します。その後、ムーアの法則が続いた場合、以下のようになります。
2020年のPC 人間の脳1個分
2030年のPC 人間の脳1000個分
2040年のPC 人間の脳100万個分
2050年のPC 人間の脳10億個分
また、別の表現をするなら、一度、考えるコンピュータができたら、ものすごい速度で進歩し、人間の手に負えなくなるほど、人間の想像以上に文明が進歩してしまと予測されます。特に、以下の統計家 I. J. Goodのシナリオが印象的です。
1965年、統計家 I. J. Good は、人類を超えた知能による世界への影響を強調し、より特異点に迫るシナリオを描いた。
超知的マシンを、いかなる賢い人もはるかに凌ぐ知的なマシンであるとする。そのようなマシンの設計も知的活動に他ならないので、超知的マシンはさらに知的なマシンを設計できるだろう。それによって間違いなく知能の爆発的発展があり、人類は置いていかれるだろう。従って、最初の超知的マシンが人類の最後の発明となる。
詳しく追って説明します。
(a)2020年、PCが人間の脳1個分の場合
おそらく人間1人分の人工知能が大変歓迎される、おだやかな時代でしょう。
家事手伝いはもちろん、人間の大部分の職業はコンピューターが行ってくれるため、社会的構造がうまく整えば、人間は、あまり働くなくてもよい時代になるかもしれません。
(b)2030年、PCが人間の脳1000個分の場合
ここらへんから、ちょっとおかしいぞと人間が気付き始めるかもしれません。人間と人間の脳1000個分PCでは、知能が違いすぎて会話が成立するのかも微妙になってきます。
(c)2040年、PCが人間の脳100万個分の場合
ここまで人口知能が発達すれば、人間をはるかに凌駕しているため、下手すると、人工知能に人間が支配されてしまう恐れさえあります。
また、この時期になると、技術の発達も急激に進歩し、「技術的特異点」の実現も現実味を増すでしょう。
例えば、これまで画期的な発明(飛行機、自動車、冷蔵庫、パソコン、携帯電話、インターネットなど)がありましたが、これらの発明が年単位で生まれてもおかしくないでしょう。
(d)2050年、PCが人間の脳10億個分の場合
この時期になると、飛行機、自動車、冷蔵庫、パソコン、携帯電話、インターネットなどような画期的な発明が分、秒単位で生まれます。つまり、江戸時代の方が現代文明を想像できないように、現在の人間では、想像できないほど科学が発達し、さらにその技術的進歩は指数関数的に速まり、「技術的特異点」に突入します。
※上記の予想(2020年~2050年)は数十年ずれるかもしれませんが、大差はないと考えられます。
技術的特異点の前後で予想される文明の進化
自分の脳をスキャン
自分の脳をスキャンして、自分の脳をロボットにインストールできるようになります。この場合、自分の自我も本当にロボットに移植できたか否かという問題は起こりますが、いずれにせよ興味深いです。
完全なバーチャルリアリティ
人間の五感全てを組み込んだ完全没入型のバーチャル・リアリティ(仮想空間)環境が、2020年代に実現すると予想されています。果然に実現すると、現実のオフィスを使う必要もなくなり、生活・仕事なども仮想空間で行われるかもしれません。アニメでいえば、ゲームの世界を仮想空間で実現している「ソードアートオンライン」が、面白い例かもしれません。
人間が不死になる
ナノテクノロジーのミクロ化が進歩して、細胞を改変できる大きさのナノマシンが実現したとします。この場合、ナノマシンが、老化した人間の細胞を老化前の状態に単純に戻せば、細胞は不死になり、人間も不死になります。
人間は宇宙と同じ寿命だけ生きられるのはうれしいですね。
さらに長生きするためには、ワームホールを作って別の宇宙に移動できれば、文字通り人間は不死の存在になります。(※ワームホールの詳しい説明は、理論物理学者のカクミチオ氏が論じています)
いずれにせよ、技術的特異点が近づくにつれて、非常に楽しい未来が実現するかもしれません。
※参考までに、今回の記事の元ネタは、以下のカーツワイルさんの本です。江戸時代の人から見たら現代の世界は全く別次元・別世界ですよね。技術の進歩が指数関数的に加速する「技術的特異点」の考え方は、当時かなり衝撃を受けました。
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