ハードディスクの容量が近い将来、無限大になる!?
九州工業大学でハードディスクにほぼ無限に情報を格納できる技術が開発されたそうです。今までは、宇宙の原子を1か所にまとめても、例えば、将棋の全パターンですら記憶できないとされてきましたが、今回の発見により理論的に簡単に保存可能になります。容量がかなり大きい動画も、好きなだけ大量に保存できるので、実用化が今から楽しみですよね。
ほぼ無限に情報を格納できる仕組み
今回の発見の対象となった物質は、原子がらせん状に並んでいる「カイラル磁性結晶」と呼ばれる物質です。九州工業大学の岸根順一郎准教授の研究によると、この「カイラル磁性結晶」に与える磁力を徐々に増加させると、らせん構造に起因して、電気抵抗が上がったり、下がったりすることが判りました(関連記事のリンク(日本経済新聞))。結局のところ、与える磁場により、電気抵抗が異なることから、多段階の状態の保存が可能になります。
例えば、現在は、1記憶素子(例えば分子や結晶等)に「0」か「1」の2状態(2進数)しかとることができませんでした。従って、10記憶素子あれば、2の10乗(約1000バイト)の情報を保存できることになります。
一方、「カイラル磁性結晶」の場合、ほぼ無限の状態(無限進数)を保存できることになります。例えば、「カイラル磁性結晶」に10個の状態(10進数)を保存できる場合、10の10乗なので100億バイトの情報を保存できることになります。
下の表のように、「カイラル磁性結晶」に保存できる情報は、取りうる状態数(進数)の増加(2,10,100…)とともに飛躍的に増加することがわかると思います。例えば、100進数の「カイラル磁性結晶」10個に10の200乗バイトの情報を格納できることになります。10の200乗バイトなので、ギガバイト(10の9乗バイト)やテラバイト(10の12乗バイト)どころではない情報を格納できることになります。
進数 | 10記憶素子に保存できる情報 |
2進数 | 1024バイト |
10進数 | 10,000,000,000バイト |
100進数 | 10の200乗バイト |
人類の全情報も簡単に保存可能
全人類の情報は、約300エクサバイト(※1エクサバイトは1,000,000,000,000,000,000バイト)と言われています。仮にこの情報をCD-ROMに保存すると、CD-ROMの高さは月まで達するとされています。とてつもない情報量ですよね(笑)。
さて、この全人類の情報を「カイラル磁性結晶」に保存させるとどうなるのでしょうか?
全人類の情報は上述したように、約300エクサバイト(300,000,000,000,000,000,000バイト)ですが、仮に「カイラル磁性結晶」1個に1000の状態(1000進数)をとることができるとします。「カイラル磁性結晶」8個に保存できる情報量は,000,000,000,000,000,000,000,000バイト、つまり100,000エクサバイトとなります。つまり、「カイラル磁性結晶」わずか8個に全人類の情報が保存できることになります。
「カイラル磁性結晶」自体は、原子がらせん状に並んでいる「分子」の一つなので、非常に小さい大きさになります。このため「カイラル磁性結晶」8個に保存できるハードディスクも米粒よりはるかに小さくなります。
以上をまとめると、全人類の情報を保存できるハードディスクは、米粒より小さいハードディスクで十分に可能となります。例えば、今までに公開された、全ての映画や動画も、米粒より小さいハードディスクに保存できることになります。こ、これは、仮に盗まれたら大変ですね(笑)。
将棋の全パターンの保存も可能
ちなみに、この「カイラル磁性結晶」では、将棋の全パターンの保存も当然可能となります。
従来は、将棋の全パターンを保存することは、不可能考えられていました。その根拠は以下の通りです。観測可能な宇宙には、約10の80乗の原子があると見積もられています。仮にわずか10個の原子に「0」か「1」の状態を保存させることが可能だとしても、全宇宙の原子に保存できる情報量は、10の80乗バイト程度になります。
※「観測可能な宇宙」とは、半径465億光年内の宇宙を指しています。(参考url:「観測可能な宇宙」のウィキペディア)この境界は、別名「世界線」と呼ばれ、この外側の宇宙は、我々地球から光速以上の速度で遠ざかっています。このため、相対性理論によれば、光速以上の宇宙船は作れないので、人類は、世界線の外側に到達することが不可能とされています。
将棋の場合、全パターンは10の220乗程度とされていますので、仮に宇宙の原子を1か所に集めて、超巨大なハードディスクを作ったとてしても、将棋の全パターンを保存しようとしても不可能になります。
一方、「カイラル磁性結晶」の場合はどうでしょうか。例によって、「カイラル磁性結晶」1個に1000の状態(1000進数)をとることができるとします。この「カイラル磁性結晶」100個に保存できる情報量は、10の300乗バイトとなり、将棋の全パターン(10の220乗バイト)も簡単に保存できることになります。ほんとになんでもありの状況ですよね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?この「カイラル磁性結晶」は、ほぼ無限の情報量が保存できることになります。例えるなら、何でも保存できる、ドラえもんの4次元ポケットのハードディスク(HD)バージョンと言えるでしょうか(笑)。
約10年前に4Gの外付けハードディスクを1~2万円で買った記憶がありますが、現在では、4T(4000G)の外付けハードディスクが1~2万円で買える時代になりました。つまり、約10年で1000倍の容量のハードディスクが変えてしまうことになります。ハードディスクの容量の進歩は驚異的にですよね。さらに今回の「カイラル磁性結晶」の発見で、ハードディスクの記憶容量は、1000倍以上(ほぼ無限)に保存できることになり、今から期待してしまいます(笑)。
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