どうしてこの世界が存在するの?」という疑問を抱いた方は、結構いるのではないでしょうか?そもそもこの世界が存在すること自体が不思議ですよね。それにどうやってこの世界が始まったかについても疑問・謎だらけです。

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万物理論とは?

この世界がどのようにつくられたかに関する研究には、哲学、宗教など様々なアプローチがあります。ここでは、この世界がどのようにつくられたかに関する、物理的なアプローチについて解説します。

この世の始まりからすべてを説明する理論は、万物理論と呼ばれており、理論物理の分野で様々な案が提案されています。

この宇宙はビックバンという大規模な爆発により始まったことは、よく知られています。しかし、万物理論は、ビックバン以前についても言及して説明する必要があります。

様々な万物理論

以下では、様々な万物理論について解説します。もちろん、これらの万物理論には不完全な点が必ずあります。逆に、仮に万物理論が完成すれば、「どうしてこの世界が存在するの?」という問いに完璧に答えられることになります。

宇宙は無から始まった(ビレンケン氏の主張)

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理論物理学者ビレンケン氏は、宇宙は無から始まったと主張しています。この宇宙は、星々の物質や、負のエネルギーである重力などから構成されており、この宇宙のエネルギーの総和はゼロであることが、かなり有力となっています。

ビレンケン氏の主張では、宇宙の外側では、量子力学的にゆらぎのある時空があり、このゆらぎの量子トンネル効果により、ビックバンが起こり、我々の宇宙が創られたとしています。

量子トンネル効果とは
「トンネル効果 トンネル効果とは、量子力学の分野で、エネルギー的に通常は超えることのできない領域を粒子が一定の確率で通り抜けてしまう現象のことである。 」
(引用元:量子トンネル効果とは – IT用語辞典 Weblio辞書

一方、この宇宙を囲む「量子力学的にゆらぎのある時空」がどうやって始まったかについては未解明となっています。

※ビレンケン氏の、無から宇宙が始まる考え方は、ビレンケン氏本人の著書に詳細が記されています。

永久インフレーション

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永久インフレーションは、急激な(指数関数的な)時空の膨張を指します。

この永久インフレーションは、我々宇宙のはじまりであるビックバン以前に始まったとされています。永久インフレーションにより指数関数的に時空が膨張すると、そのところどころで泡が発生して島宇宙が無数に形成されます。この無数の泡(島宇宙)の一つが、我々の宇宙になります。

各島宇宙間の距離は、100億光年や100兆光年のような「ミクロ」な単位では説明できないほど、とてつもなく離れており、お互いに干渉は不可能であるとされています。

また、現在も永久インフレーションは膨張し続けており、島宇宙は生成され続けています。しかし、この永久インフレーションの理論では、永久インフレーションの始まりについては、未解明です。現在も永久インフレーションは膨張し続けているとされているので、「どれだけの大きさなんだよ?」とツッコミを入れたくなりますよね。

参考文献…宇宙のインフレーション

マルチバース(サスキンド氏などが主張)

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超弦ひも理論の創始者のひとりであるサスキンド氏の主張によると、超弦ひも理論では、我々の宇宙の他にも無数の宇宙(マルチバース)があり、各宇宙の物理法則は異なっているとされています。例えば、星が全く生成されない宇宙や、ビックバン直後にすぐにビッククランチでしぼむ宇宙も存在することになります。

この超弦ひも理論は、重力を含む4つの力を統一する理論の一つですが、未だに未完成となっています。

サスキンド氏がマルチバースに関して以下の著書に詳細に記載しています。

統一場理論によるアプローチ

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現在、宇宙には4つの力があることが知られており、そのうち3つは標準理論として統一されましたが、もう一つの力である重力を標準理論に組み込むことは、いまだに未完成です。

さらに難しいのは、仮に4つの力を統一する理論を説明するマスター方程式が見つかったとします。マスター方程式では、この世界の物理現象をすべて説明できたとします。しかし、マスター方程式は所詮「数式」にすぎず、数式により我々宇宙を含む「実在」がどうして生まれたかまで説明する必要があります。つまり、マスター方程式という数式で、この世の「実在」の生成まで説明できれば、万物理論が完成となります。個人的にも、どうやって説明するのかは全く想像もつきません…。超難問ですよね。数学史上最大の難問であるリーマン予想のはるかに上です。

数学的宇宙仮説(テグマーク氏)

数学的宇宙仮説はテグマーク氏が主張した万物理論であり、「数学的に存在する全ての構造は物理的にもまた存在する」という仮説に基づいています。

例えば、我々宇宙を説明する方程式に、シュレディンガー方程式やニュートンの運動方程式などがあります。ニュートンの運動方程式は、時間の2階微分方程式ですが、実は3階微分の運動方程式を含む数学的な構造が存在した場合、この数学的な構造から成る宇宙も、我々の宇宙とは別の時空に必ず存在すると、数学的宇宙仮説は主張しています。

つまり、考えられうるすべての数学的構造に対応する実在(宇宙など)が必ず、我々の宇宙とは別の時空に存在することになります。

※参考文献…数学的宇宙仮説 – Wikipedia

シミュレーション仮説(ニック・ボストロム氏などが主張)

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シミュレーション仮説では、我々の世界は、外側の世界のパソコンの中で再現されたに過ぎないと主張しています。つまり、映画「マトリックス」と同じように、この世界はパソコン内の世界であることになります。

もしかしたら、我々の世界の外側の世界では、一介のシステムエンジニアがroot権限で管理しているだけかもしれません(笑)。我々の世界を消去したい場合「rm -rf /」とコマンドを打つだけです。

この場合、万物理論を完成させるためには、我々の世界の外側の世界の創造過程も説明する必要がありますが、パソコンの外側の世界まで理解して説明するのは、極めて困難と言えます。

※本サイトでシミュレーション仮説の詳細な記事はこちらです。
シミュレーション仮説に基づくと、この世界はコンピュータの中の世界?

※参考文献…シミュレーション仮説 – Wikipedia

万物理論の完成は不可能である立場(ホーキング氏の主張)

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ホーキング氏は、著書「A Grand Design」(日本語訳「ホーキング、宇宙と人間を語る」)の中で「万物理論は見つからないかもしれない」と主張しています。この主張では、我々の世界は、一定の条件下で表現されているにすぎないとされています。

上述したシミュレーション仮説も一例となります。この場合、我々宇宙を再現しているパソコンの世界(外の世界)を我々(パソコン内の住人)が推測することは、ほぼ不可能となります。

まとめ

「どうしてこの世界が存在するの?」という問いの答えは是非とも知りたいですよね。人類の最大の関心事の一つかもしれません。そのためにも、ホーキング氏など、宇宙理論物理学者の方々には万物理論の構築を頑張ってもらう必要があります。