現在、我々が住んでいる世界は、実は現実の世界ではなく、コンピュータの中でシミュレートされている世界かもしれません。例えば、映画のマトリックスのように、この世界がシミュレーションの世界であるという考えが哲学や物理界では真剣に論じられています。

そのなかでも代表的なのがシミュレーション仮説と言われているものです。

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シミュレーション仮説とは

シミュレーション仮説とは、我々が生活しているこの世界は、コンピュータの中でシミュレートされている世界であるとする仮説です。

このシミュレーション仮説は、ニック・ボストロムという哲学者が、最近、強く主張されています。

ボストロムの主張の前提として、「十分に進んだ技術があれば生命にあふれた惑星全体をシミュレートしたり、さらには宇宙全体をその全住民と共にシミュレートできる」という考え方があります。
 (引用元:シミュレーション仮説

つまり、シミュレーション仮説が成り立つ前提として、十分に科学技術が発達すれば、宇宙をコンピューター内部で再現できる必要があります。

さらに、ボストロムは、「そのようなシミュレーションの中でさらにシミュレーションが行われ、再帰的に派生していくだろう」と主張しています。

つまり、仮に宇宙全体がコンピューター内部で再現可能な場合、そのシミュレートされた中に住む知的生命体が、さらにシミュレーションにより宇宙全体を構築することができ、再帰的に延々とシミューレーションが再現されることになります。

以上のような仮説に基づくと、例えば、リアルの現実世界一つに対して、何十億かそれ以上のコンピューター内部で、我々が住むような宇宙を再現していることになります。

この場合、我々が住む宇宙は、確率的に考えて、リアルの世界であるよりは、むしろコンピューター内部で実現されたシミュレーションの世界である可能が高いことになります。

この世界が現実の世界かシミュレーションの世界かの区別は可能?

この世界が現実の世界なのか、もしくは、コンピュータ内部のシミュレーションの中の世界か、の区別は可能なのでしょうか?

プログラム上のバグを見つけるこができれば、区別は可能であると言えます。現実を注意深く観察して、不自然な自然現象などをバグと認定できれば、この世界がシミュレーションの中の世界だると証明されたことになります。

一方で、今日、実験物理学者が、マクロからミクロな分野まで様々な実験を行っていますが、現在のところ、バグと思われるものは報告されていません。つまり、この世界がシミュレーションの世界だとしても、かなり精巧に作られたプログラムなのかもしれません。

また、シミュレーションの世界の元となるプログラムにバグがない場合、この世界が現実の世界なのか、シミュレーションの世界かの区別は困難であると、多くの科学者が主張しています。

シミュレーションの世界での神は、プログラム作成者?

仮に、この世界がシミュレーションの世界の場合、この世界を創造したものは、実はプログラム作成者ということになります。神といえば、完璧な存在という印象がありますが、この世界の「神」は、実は単なる、ある意味、人間と変わらないプログラム作成者ということになりますと、不思議な感じがしますね。

最も、シミュレーションの世界を元をたどっていくと、いずれ現実世界に行き着くわけですが、現実世界を創造したものが何なのかは、もちろん謎であり、人類の最大の関心事の一つではあります。